一橋大が独自案検討 春に入学、授業は秋から

 東京大学が全面移行を検討している秋入学について、一橋大学が入学時期を春のままにしながら、本格的な授業の開始を秋に移す独自案を検討していることが21日、わかった。入学から秋学期までを「導入学期」、四年次の最後の3ヵ月を「修了学期」とし、実質的な学部教育は7学期で終える。春入学・春卒業の枠組みのまま、国際標準の秋入学に合わせた授業日程が組める利点がある。  (日経新聞 H24.2.22)

 独自案では、新入生の入学時期は4月で現行と同じ。4~7月の導入学期中(ギャップターム)に、大学の責任で基礎教育あるいは海外留学の奨励などを行なう。夏休み(8月)を経て、一年次の秋学期(9~12月)から本格的な大学教育を開始。留学生には9月入学を認める。冬休みを経て、春学期(1~6月)に入る。学部教育は7学期で終え、四年次の12月後半~3月を修了学期として卒業論文を完成させれば3月に卒業は可能。修学期間は4年間で現行と同じ。就職活動や国家試験の対応も現行の動きで対応できる。留学生や卒業単位が足りない学生は8学期も学び、6月卒業とする。
 大学の自治が認められている以上、各大学において独自案があっても良いわけで、今後複数の議論がなされるだろう。秋入学の方向性が高まってきているなか、大学志願者の選択の幅が広がろうというものだ。中高教育が春入学・春卒業で根付いている日本人学生にとって、ギャップタームの時期をどう過ごすか、修学期間が延長されるのか、就職活動や国家試験との関連はどうなるのか、といった問題に一石を投じそうだ。

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著作権ルール TPPで議論再燃

 政府が環太平洋経済連携協定(TPP)への交渉参加を決めたことで、著作権のルールが変わる可能性が出てきた。漫画などのパロディーが規制されたり、著作権保護期間が大幅延長されたりするとの見方が強まる。歓迎の声があがる一方、創作物は社会的な文化資産だとして、過度な保護強化を懸念する向きもあり、議論が再燃しそうだ。  (日経新聞 H24.2.4)

 TPPによる政府間交渉が本格的に始まると、米国が次の2点を要求してくる公算が大きいという。
 一つは「著作権侵害の非親告罪化」で、適用されると、権利侵害を受けた著作権者が告訴しなくても警察が侵害者に刑事責任を問えるようになる。今までグレー領域としてお目こぼしされてきた「二次創作」と呼ばれる、プロの作品をパロディー化した作品のマーケットに大きな影響を与えることになる。
 もう一つは「保護期間の延長」で、日本は現在、著作権者が死去してから50年間は権利が保護されている。これに対し米国は70年で、国内でも国際標準に合わせるべきだとして支持する声がある。だが一方、電子書籍時代を迎えようとしている今、文学作品を簡単にデータ化して低コストで読者に届けるというビジネスにも少なからず影響を与えることになる。
 著作権者自身が利用の範囲を決め、ルールを示すマークを作品に付けて権利を開放するという、国際的な非営利組織、クリエイティブ・コモンズ(CC)の取り組みがある。ただ、現状では著作権者自身の問題意識が希薄な上、制度整備が煩雑で決め手になる策はない。個人がホームページやブログなどで著作を発表するネット時代には、誰もが権利者にもなりうる。我々は著作権に対し、一般の関心事として意識する必要がありそうだ。

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スパコン「京」世界一維持 2位と差広げる

 理化学研究所と富士通が共同開発を進めるスーパーコンピューター「京(けい)」が、14日発表されたスパコン性能ランキングで世界最速の座を守った。10月に1秒間に1京(京は1兆の1万倍)回の計算速度を達成したばかり。米中との開発競争が激しい中で、前回(6月)に続き世界一となり、技術力の高さを再びアピールした。  (日経新聞 H23.11.15)

 前回(6月)に続き世界一の座を守ったわけだが、その時の計算能力は1秒間に8162兆回だった。今回は同1京510兆回で、名実ともに「京」が実現している。2位中国の「天河1号A」は同2566兆回、3位米国の「Jaguar」は同1759兆回で、大きく引き離してはいるが、各国は開発にしのぎを削っている。
 「京」の技術を応用した商用機を来年1月から順次販売すると発表しており、最上位機種では「京」の2倍以上の計算能力を持つという。初号機としては東大に納入され、1130兆回と従来のスパコンに比べて約50倍の計算能力があるということだ。
 資源・エネルギーを効率的に探査するシステム、新薬開発や未知の疾病の原因分析のシミュレーション、気象予報や地震・津波予測の精度向上、航空機や自動車等の安全シミュレーション、などの幅広い分野での活用を見込んでいる。
 政府としては、新興・資源国を対象に輸出に乗り出して関係強化を図ることにより、日本企業の進出やエネルギーの安定確保を狙っている。世界首位だからこそ、日本製の次世代スパコンに対する各国の関心が高まっていると言える。

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根底崩れた?相対論 光より速いニュートリノ

 名古屋大などの国際研究グループは23日、物質を構成する素粒子の一種であるニュートリノが、光の速度より速く飛んでいるとする観測結果を発表した。
 現代物理学の基礎であるアインシュタインの特殊相対性理論では、宇宙で最も速いのは光だとしている。今回の結果は同理論と矛盾しており、観測結果が事実なら物理学を根底から揺るがす可能性がある。  (読売新聞 H23.9.24)

 アインシュタインの理論が覆えされるのか?タイムマシンが可能となるのか?過去の実験と整合性が取れず矛盾する点もあり、今後の検証実験が必要とされるところだが、とても興味深い話題で大きな反響を呼び起こしそうだ。
 ニュートリノと言えば、小柴昌俊氏が観測装置「カミオカンデ」を使って世界で初めて観測されたもので、その成果が評価され、2002年にノーベル物理学賞を受賞している。
 当研究グループは、欧州合同原子核研究所(CERN、スイス・フランス国境)の「OPERA実験」でニュートリノ(ミュー型:他に電子型・タウ型がある)を加速器という装置で打ち出し、約730キロメートル離れたグランサッソ地下研究所(イタリア中部)へ地中を通して飛ばした。その結果、光はこの距離を0.0024秒(299792.5km/秒)で飛ぶが、ニュートリノは光より1億分の6秒早く到達しており、光の速度より0.0025%だけ速く(299799.9km/秒)飛んだことを示したことが分かった。
 2007年に米国の研究グループが同様の実験で似た結果を発表していたが、データの誤差が大きく注目されなかったという。今回は原子時計を備えた全地球測位システム(GPS)と光学測量を組み合わせ、3年間かけて約1万5000個分の飛行速度を精緻に測定し、誤差を考慮しても光速を超えていることが判明した。理論研究者への問題提起として発表に踏み切ったようだ。

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東大、秋入学への移行検討 国際化を加速

 東京大学は、入学時期を春から秋に移行させる検討に入った。国際標準である秋入学の導入で、海外大学との留学生交換を円滑にし、大学の国際化を加速させるとともに、学生に入学までに社会経験を積ませることが狙い。年内にも結論を出す。
 東大が秋入学に踏み切れば、他大学の入学時期や官庁・企業の採用活動などに大きな影響を与えることは必至だ。  (日経新聞 H23.7.1)

 入学時期の見直しは、かねてから大学改革の課題に挙げられており、その背景には、秋入学というグローバルスタンダードに合わせないと世界の大学間競争に遅れを取るという強い危機感があるようだ。ただ、社会の意識や小中高校の仕組み、官庁や企業の採用時期、国家試験の実施時期など、社会の隅々まで日本の生活様式に定着している春入学・春卒業を一気に切り替えるにはあまりにも課題が多い。
 入試は現行日程を維持するとのことだが、高校卒業から入学までの半年間の過ごし方をどうするか。大学卒業を春・秋いずれにし、官庁・企業の採用時期のギャップがあれば、その期間をどう過ごすのか。社会体験やボランティア活動、短期海外留学などの案もあると思うが、その受け皿確保も必要となってくる。
 まだまだ課題は多いと思うが、大学のグローバル化を進めるのであれば、秋入学の議論加速にも期待が高まってくる。入試の時期も冬から春に移行するのも一計ではなかろうか。

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スパコン世界一!

 理化学研究所と富士通は20日、共同で開発を進めている次世代コンピュータ「京(けい)」が、この日に公開された世界のスパコン性能ランキングで1位になったと発表した。日本勢が1位になったのは7年ぶり。「京」は2012年度に完成予定で、今回は組み立て途中の性能試験で1位になった。  (日経新聞 H23.6.21)

 「京」は1秒間に1京回(完成時、今回は8,162兆回)の計算を目指しているという。1京は1兆の1万倍で、1の後ろにゼロが16個つく。これは日本人全員が協力して、1回/秒の計算を2年半強続ける量にあたる。
 ある国会議員の「2位じゃだめですか」の発言はこのスパコンのことである。1位になれば、様々な技術力が世界中から高く評価され 、トップクラスの技術者が日本に集まってくる効果もある。やはり、技術は常に1位を目指していかなければならない。この技術が私たちの生活に役立つのだ。

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