第46回衆院選が16日投票、即日開票された。自民党が公明党と合わせ総定数の3分の2を超えて圧勝し、約3年3カ月ぶりの政権奪還を果たした。自民党の安倍晋三総裁は26日に召集予定の特別国会で首相に指名され、自公連立政権を発足させる。民主党は公示前の約4分の1に落ち込む歴史的な惨敗を喫し、日本維新の会は50議席台で第3党に躍進した。 (日経新聞 H24.12.17)
自民党294、公明党31の自公325議席獲得の大圧勝で、自公政権が約3年3か月ぶりに奪還という結末で第46回衆院選が終了した。12月6日の序盤情勢では「自民、過半数の勢い」、12月14日の終盤情勢では「自公300の勢い」、そして結果は「自公320超」と、勢いを増しながら選挙戦を終えた。
ただ、この結果は小選挙区制度がもたらした効果であって、前回では民主党が圧勝したが、今回は再び自民党に議席が揺り戻されただけで、第3極による批判票の分散が後押ししたにすぎないとみることもできる。実際比例代表を見てみると、今回は自民57、公明22を獲得したが、前回も自民55、公明21とほとんど増えていない。民主の減少分は第3極に流れている。一人二票がバランスを働かせている。これが民意なのかもしれない。
そして投票率であるが、前回の69.28%から10ポイント下落の59.32%で戦後最低となっている。有権者の3分の2にも満たないのだ。ただ棄権者はこの議席配分を委任したということを自覚してほしい。つまり、有権者全員がこの結果を受け入れたということなのだ。
12月26日にも特別国会が召集され安倍内閣が発足する予定だ。「決断する政治」を実行してほしいものだ。
日本経済新聞社は16日に投票日を迎える第46回衆院選の序盤情勢を探るための全国世論調査を実施した。全480議席のうち自民党が単独過半数を確保する勢いで、公明党との政権復帰の可能性が高まっている。民主党は激減し、公示前勢力(230議席)の半分以下になりかねない。日本維新の会が比例代表で勢いをみせるが、第三極の各党は全国での浸透が課題になっている。 (日経新聞 H24.12.6)
日経新聞の全国世論調査からみると、自公政権復帰の可能性が高まっているようだ。自民党が単独過半数を確保する勢いにあり、民主党は激減し、公示前勢力の半分以下となる見通しが強まっている。第三極の各党は全国規模で支持を広げられるかどうかにあるという。
この時点での世論調査の報道にはアナウンス効果が見られることに注意を要する。選挙報道においては、候補者に有利または不利な内容の報道により、その候補者の得票に影響を与えてしまうことがあるからだ。マスメディアが不利と報道した候補者については、その潜在的な支持者が積極的に投票に行くことになり、得票を大きく伸ばす現象、「アンダードック効果(負け犬効果)」が見られるのか。それとも、マスメディアが有利と報道した候補者について、いわゆる勝ち馬に乗ろうとして、組織等が支持することでさらに得票を伸ばす現象、「バンドワゴン効果(勝ち馬効果)」が見られるのか。
無党派層や支持を決めかねている層への支持拡大が今後の選挙戦の課題となっていきそうだ。そうだ、選挙に行こう。
野田首相は14日の党首討論で、16日に衆院解散に踏み切る考えを表明した。衆院議員の定数削減への協力を条件とし、自民党は来年の通常国会で実現に協力する方針を確認した。政府・民主党は14日夕の三役会議で「12月4日公示―16日投開票」とする日程を決めた。衆院選は2009年8月以来で、与野党の対決に「第三極」の結集の動きが絡む展開となる。 (日経新聞 H24.11.15)
国民に信を問うときがついに来た。3ヶ月というのは近いうちなのか、という疑問がわいてくるが、ず~っとタイミングを計っていたのだろう。ただ約束を果たすことを条件に解散するという「条件付き解散」、今までになかったことではないだろうか。また、異例にも解散日を明言している。首相の真面目でバカ正直さが表れていると思う。
民主党内のゴタゴタはどうでもよい。新年を国会議員という肩書で過ごせるかどうかを考えているのだろう。国民はどのようにして正月を越すかどうかを考えているのに。ここ数ヶ月の無策が政治をさらに停滞させ、経済にも外交にも多大な影響を与えてきたことを自覚すべきだ。澱みは溝さらいしかないのだ。ここが参議院議員や官僚の出番であり、一期間の政治空白を埋めるべく心血を注ぐべきだ。サボっていてはいけない。
気になるのは、「違憲状態」と判断した現行の区割りのまま選挙が実施されることにある。このままだと、選挙後に「一票の格差」に関する違憲訴訟が提起されるのは確実で、最高裁は今度こそ「違憲」や初の「選挙無効」判断を下しかねない。これを立法の裁量でどう対応するかにある。選挙無効による国家、国民生活の大混乱だけは避けてほしい。
政権交代の意味、マニフェストの位置付け、違憲状態の中での選挙、色々な意味で今後の国政の分岐点ともなる総選挙になると思う。
通常国会が事実上閉会した7日、民主、自民両党で党首選に向けた動きが加速した。党首選の結果は次期衆院選後の政権の枠組みとも絡むだけに波乱を抱えた展開となりそうだ。 (日経新聞 H24.9.8)
◎消費増税に方向性をつけた事、◎原発と再生可能エネルギーを含めたエネルギー・環境戦略を示そうとした事、◎TPP交渉参加に道筋をつけようとした事、◎衆参両議院選挙制度改革を検討し始めた事、◎尖閣諸島、竹島、北方領土といった領土問題に一石を投じた事、こうした大局に立った項目を机上に置いたのは良いが、政局が表面に出過ぎて、全てが中途半端になってしまっている。ねじれ国会や党内分裂といった混迷状況、およびポピュリズムに陥ったことが、このことに拍車をかけているのだろう。
今予算の執行に欠かせない赤字国債発行法案が廃案とされ、予算執行抑制により国民に少なからず影響を与えかねない。また、一票格差が違憲とされている衆参両議院の定数に関する法案も成立せず、違憲の中で衆議院総選挙を行なわざるを得なくなってしまう。
早急に臨時国会を開催し、こうした喫緊の法案を与野党合意のもと成立させ、その後解散総選挙で各党が政策を掲げ、国民に信を問うべきではなかろうか。今の国会の状況では何も決められず期待はもはや出来ない。任期満了まではとても待てない。10月解散11月総選挙が視野に入ってくる。国民、政治家、官僚の三位一体・チームジャパンでこの難局を乗り切る必要がある。
消費増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連法案は10日の参院本会議で、民主、自民、公明3党などの賛成多数で可決、成立した。現行5%の消費税率は2014年4月に8%、15年10月に10%へと2段階で上がる。消費税率の変更は3%から5%に引き上げた1997年以来、17年ぶりとなる。野田首相は記者会見で「増収分はすべて社会保障として国民に還元される」と約束した。先進国で最悪の状態にある財政の健全化に向け、ようやく一歩を踏み出す。 (日経新聞 H24.8.11)
消費増税法案が、6月26日に衆院本会議、8月10日に参院本会議において各々、民主、自民、公明3党などの賛成多数で可決、成立することとなった。これで現在5%の消費税率が平成26年4月に8%、平成27年10月に10%へ引き上げられることになる。
この重要法案は民主党マニフェストには記載されていない。また前提だろうと考えられていた、公務員制度を含む行政改革及び衆参両議院制度改革といった本格的な制度改革法案が検討されていない。経済成長戦略に関しても具体的な政策が示されていない。このような状況の中で民意に諮ることなく、つまり選挙も経ずに決定されたことに驚きを隠せない。やはり危惧した通り粛々と進められていくのだろうか。
経済成長戦略の促進と税徴収の厳格化によって今回の消費増税は不要との論もあろうが、一刻も早い財政健全化のためには、ある程度は覚悟する必要があるだろう。消費増税の必要性は感じるが、このような形で行なわれたのは残念だ。
早急に衆議院の解散、総選挙を実施し、一体改革と共に改革法案や経済政策を工程表に載せ明確にしたうえで、国民に信を問う必要があると思う。こうなった以上は国民の納得感を得なければならない。
野田首相は13日、「海の日」(16日)に合わせた談話を発表した。「海洋権益の確保、離島の保全、海洋安全の確保などの課題に国をあげて取り組み、日本再生の原動力にしなくてはいけない」と強調。「海洋の開拓を推進し、海洋を戦略的に活用していくことが重要だ」と呼びかけた。首相は政府の総合海洋政策本部の本部長を務めている。 (日経新聞 H24.7.13)
7月16日は海の日。平成8年から施行された祝日で当初は7月20日だった。平成15年のハッピーマンデー制度により7月第3月曜日となっている。
日本が海洋国家であることを認識する日であり、領海を守り海洋権益を意識する日でもある。日本は四方を海に囲まれており、東端は南鳥島、西端は与那国島、南端は沖ノ鳥島、北端は択捉島となっている。中国とは尖閣諸島、韓国とは竹島、ロシアとは北方四島において、領土問題はないと言いながらも主権を争っている。侵犯・拿捕がメディアを賑わしている。中国でいうところの「核心的利益(安全保障上、譲れない国家利益)」を日本も考えていく必要がある。
領海12海里(約22km、国の主権が及ぶ領域)、排他的経済水域200海里(約370km、EEZ、経済的主権が及ぶ水域)を考えると、日本の領土面積は約38万平方キロメートルで世界第61位だが、領海、EEZ(水域面積)の広さでは約448万平方キロメートルの世界6位となる。領土と水域面積の合計では約486万平方キロメートルと世界第9位となる。
海は水産資源・鉱産資源の宝庫だ。日本近海は世界有数のメタンハイドレート埋蔵量を誇っていると言われている。コストが見合えば、東シナ海や日本海の石油・ガス田、シェールオイルを含めると、世界有数のエネルギー資源大国になれる可能性があるという意見もあるようだ。海洋国日本に日本再生のカギがある。
30日の野田首相と民主党の小沢元代表との約1時間半にわたる会談は、消費増税への賛否を巡り双方が持論を譲らず物別れに終わった。首相は財政の危機的な状況を訴え協力を求めたが、元代表は2009年の衆院選マニフェスト(政権公約)で掲げた政策の実現を主張。会談後、首相と元代表は共に険しい表情を浮かべ、歩み寄りの難しさを浮き彫りにした。 (日経新聞 H24.5.31)
こうなることは両者とも、はじめから分かりきっていたことだ。
小沢氏は自分の立ち位置しか考えていない。マニフェスト遵守、国民との約束は守る、とは言っている。しかし事実は、どうすれば自分が政界で目立つ存在と成りうるのか、しか考えていない。司法では「疑わしきは被告人の利益」だが、国会議員には「疑わしきは国民の利益」が求められる。国民の大半は訝っている。国会の証人喚問に応じるべきだ。
野田首相にとっても、物別れという事実が欲しかったのだろう。これで堰を切ったように動くのではないか。近々の懸案事項(消費税、TPP、普天間、選挙制度 等)が溜まりに溜まっているようだが、自公連携のもと、自分の思いを一気に推し進めていくのではないかと思う。これからがどじょう首相の本領発揮といくのだろうか。斬るものは斬る。受け入れるものは受け入れる。いまや決断すべき時期に来ている。
自民党は27日、7年ぶりとなる新たな憲法改正草案を決定した。自衛隊を「国防軍」と改め、現行憲法が解釈で禁じる集団的自衛権の行使を容認。天皇を「日本国の元首」と位置づけ、日の丸や君が代の尊重を義務づけた。次期衆院選をにらみ保守色を強めて民主党との対立軸を明確にした。 (日経新聞 H24.4.28)
日本国憲法改正草案、待ちに待ったといったところだ。施行以来一度の変更も無かったが、とうとう本腰を入れて踏み切ってくれたのか、大いに期待する。
きちんと前文には憲法の基本原理たる、「国民主権」、「平和主義」、「基本的人権の尊重」が明記されている。主体性を持った明快な文章だ。各条文には見出しが付記されているのも良い。そして、①天皇が日本国の元首であること、②自衛隊を国防軍として位置づけ、集団的自衛権行使を容認していること、③国旗は日章旗、国歌は君が代としていること、④自由と権利に対する責任と義務が示されていること、⑤緊急事態における対応が示されていること、が明記されているが、これを評価したい。第九条の二では良くないので、附則に、条文番号は公布時に整番されるとの一項が欲しい。
ただ今回は、衆参二院制の在り方に変更がなされていないのが気になるところだ。衆参両院選挙制度改革が問われている中で、参議院はこのままで良いのかを考えてほしい。参議院選挙制度においては「一票の格差」是正が第一目的ではない。参議院そのものの存在をどうするかが第一であり、二院制維持か、一院制(衆議院のみ)移行かの選択が最大の関心事である。その後に二院制維持であれば、一票格差問題があり、選挙区割り及び定数が議論に上がってくるのではないか。
私としては、二院制を維持しつつも、その権能を現行よりも縮小し良識の府として存在させたい。任期6年で3年ごとに半数改選、解散なしは現行と同じ。都道府県及び政令指定都市(東京23区含む)を1選挙区、各区2名を地域代表(一票格差は問わず、道州制になれば道州を1選挙区とし、定数は別途定める)として選出し、身分は政党に属さず全て無所属とする。政党には縛られず、国益をにらんで衆議院を補完・監理し、衆議院の暴走を止める体制として築き上げたい。
与野党は25日、衆院選挙制度改革協議会を国会内で開き、座長の樽床民主党幹事長代行が新たな私案を示した。比例代表について定数180議席から75議席を削減。残り105議席のうち70議席は小選挙区比例代表並立制で、残り35議席に連用制を導入する。11ブロックを廃止し全国単位に改める。「一票の格差」是正に向けた小選挙区の「0増5減」も盛った。 (日経新聞 H24.4.25)
現行の衆院選挙制度は小選挙区比例代表並立制を採っている。これは1選挙区で1人を選ぶ300小選挙区制と、全国11ブロックによる比例代表制を組み合わせた選挙制度で、1996年10月の衆院選から導入された。
これに対して提案されたのが一部連用制を導入しようというものだ。有権者は2票を有し、比例選では政党に、小選挙区では候補者個人に投票する。現行の小選挙区比例代表並立制は比例選の議席配分の際、各党の得票数を1から順に整数で割り、商の多い順に議席を配分する。連用制は「各党の小選挙区選の獲得議席数+1」から順に割っていくため、現行制度に比べ、小選挙区選で議席を獲得できない中小政党に有利となる。得られる選挙結果も、小選挙区も含めた全議席を、純粋に比例代表の得票数に応じて配分する場合と近いものとなる。
ただ今回はブロック制廃止もあって、中小政党であっても、地域性が強かったり、小選挙区で議席を得ると不利になる傾向もありうる。各党は思惑損得勘定で動いており、なかなか妥協点は見出せそうにない。先送りの紛糾合戦の様相だ。衆院選は間近だ。一票の格差も早急に対応しないと、憲法違反に問われてしまう。
本来なら、参院の在り方や権能も含めた衆参両院の制度改革が必要となるはずだ。だが、このことは憲法改正論議とも関わってくるため、近々では現実的とは言えない。ただ方向性は議論すべきで、その行程表も早急に検討・提示すべきだ。でないと、消費増税論議すら国民から理解を得られないだろう。
政府が今月中の国会提出を目指す消費増税関連法案は、今回の改革の後継となる「税制のさらなる改革」を「2016年度」をめどに法制化すると付則に明記した。消費税率を10%に引き上げた後も、さらに増税をする方針を示唆した。膨らみ続ける社会保障費を賄い、確実に財政健全化を目指す狙いがある。 (日経新聞 H24.3.14)
消費増税法案は、2月に閣議決定した社会保障と税の一体改革大綱の表現をほぼ踏襲している。消費税率を、2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げ、税収は年金、医療、介護、少子化の社会保障4経費に限定している。
ただ、その後の追加増税は「少子高齢化や財政の状況などを勘案しつつ、税制のさらなる改革のあり方について検討を加え、その結果に基づいて16年度をめどに必要な法制上の措置を講ずる」と付則に書き込んでいる。財政健全化目標の達成をにらんで、追加増税への道筋をつけたということだ。付記するとは、有無を言わせぬ狡猾なやり方だと思う。
この法案が通過してしまうと既定の事実となり、恐らく消費増税はこのまま進められていくだろう。与野党の消費税を含めた「社会保障と税の一体改革」に対する論議や民意の判断無くして、この法案を通過させるべきではない。日本の財政状況を考えると消費増税への方向性は認めざるを得ない事実だと感じているが、広く意見を聞いてみたい。そうした意味で総選挙により一つの争点として、民意の判断を仰ぐべきだろう。
橋下徹大阪市長が代表を務める地域政党「大阪維新の会」は13日、次期衆院選に向けた政策集原案をまとめた。国政選で争点となる環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加などを掲げ、経済と外交で現実路線を鮮明にした。一方で首相公選制導入など憲法改正を伴い、実現にはハードルの高い課題も盛り込んだ。経済政策では消費増税を容認する姿勢をすでに示しており、外交・防衛では日米同盟基軸も打ち出した。 (日経新聞 H24.2.14)
大阪維新の会が、坂本龍馬の「船中八策」よろしく政策集「維新八策」の策定を進めている。その柱は、統治機構改革▽行財政改革▽公務員制度改革▽教育改革▽社会保障制度改革▽経済・税制政策▽外交・防衛政策▽憲法改正-の8骨格となる見通しだ。今後、所属地方議員や「維新政治塾」で議論し、細部を詰めるようだ。
次期衆院選での議席獲得を目指しており、5人以上の当選、または2%以上の得票率を得ることができれば、国政政党として活動ができることになる。そしてこの「維新八策」が党綱領と位置付けられるだろう。既成政党が支持率確保に苦しんでいる今、無党派層を取り込む受け皿となることは想定できよう。
憲法改正はハードルが高く実現可能性が低いとか、数値目標が無く具体性に欠けるとか、批判もあるようだが、方向性を明確に示すことも必要だ。そう考えている国会議員もいるはずだ。日本国の在り方・方針を提示できない政党は国会には不要だ。既成政党を巻き込んだ大きな政界再編を視野に入れた、今後の動きに期待が高まる。
衆院予算委員会は31日午前、野田首相も出席して外交問題に関する集中審議をした。首相は最低保障年金の創設を柱とする新年金制度に必要な財源の試算の公表を当面見送ることについて「隠蔽ではなく責任ある公表とはどういうことか検討している」と説明した。 (日経新聞 H24.1.31)
新年金制度の財源試算について、安住財務相は「いま出す案に議論を集中してもらった方がよい」と述べ、小宮山厚生労働相は「数字が独り歩きして、現在進める社会保障政策に混乱をきたすのを避けるためだ」と述べている。民主党内で正式に議論されたものではなく、大胆な前提を置いた検討材料の一つだとして、公表には消極的だ。
民主党はマニフェストで最低保障年金制度の創設を明記しており、今回の社会保障と税の一体改革に盛り込まれていないのはおかしい。素案の時点で頓挫したと思わざるを得ない。期待した経済成長が望めないなかでの早期の消費税10%にこだわった結果なのだろう。
年金一元化と最低保障年金の導入を柱とする新年金制度については、国民は関心を抱いていると思う。自公政権時代に導入した百年安心プランが早くも崩壊している今、消費増税と年金制度が絡んでいる以上、各党が考える「社会保障と税の一体改革」を提示してほしいものだ。やはり選挙なのか。
第180通常国会が24日召集された。野田首相は午後の衆参両院の本会議で就任後初の施政方針演説に臨み、消費増税を含む社会保障と税の一体改革を「必ずやり遂げなくてはならない」と述べ、野党に協議参加を呼びかける。 (日経新聞 H24.1.24)
24日に通常国会が開会し、野田首相が施政方針演説で覚悟のほどを示した。
国民の真の利益と国の未来を慮る「大きな政治」を訴え、「国民に対する政治責任」を果たす。重要な課題を先送りしない「決断する政治」を訴え、「決められない政治」からの脱却を目指す。拍手喝采を受けることはないかもしれないが、大きな改革は必ずやり遂げなければならない。『政局』ではなく『大局』を見据えよう、それが使命だ、とも語った。
首相が野党に協議参加の決断を促しているなか、与党の某議員がとんでもない事を指示しているようだ。「会議に出るより地元を回れ」と、国会活動より選挙運動に重点を置くよう指導しているというのだ。この人はいつもそうだ。国会議員の出席簿というものを公表してほしいものだ。活動実態を示すものは選挙時には何も公表されていないのが現状で、抱負を語っているだけだ。判断材料に欠いている。
こういう状況では駄目だ。国民にも再度見る眼が必要となってくる。大震災からの復旧・復興、原発事故との戦い、日本経済の再生の「3つの優先課題」への取り組みと、平成24年度予算に絞って対応し、予算案成立後すみやかに、「大きな改革」を争点にした解散・総選挙を実施するのが良いのではないだろいうか。
野田首相が13日午後に発足させる改造内閣の顔ぶれは、消費増税を柱とする社会保障と税の一体改革の実現に向け、与野党協議の火種を取り除く「野党対策」の色彩が強い。副総理に起用する岡田前幹事長に一体改革の「司令塔」役を任せる一方、問責決議を受けた2閣僚をはじめ野党の追及の的になりかねない閣僚は交代させた。 (日経新聞 H24.1.13)
通常国会が今月24日に召集されることが決定している。「適材適所」と一貫して主張していた野田政権発足から4ヶ月、野党から追及されていた5閣僚を交代させ、早くも背水の陣を敷いた形となっている。
2012年度予算案や社会保障と税の一体改革素案は、内閣としては前月末までに取りまとめたが、今後は国会での与野党協議を推し進め、「増税旗振り内閣」として国会前半を乗り切ろうとしている。しかし、消費増税に関しては与野党共に反対論は根強く、野党容認派も民主党のマニフェスト違反を指摘し衆議院解散を求めており、容認派・反対派共に対決姿勢を強めている。首相の手腕が問われるところだ。
我々としては国会の空転だけは避けてほしいと思っている。議論はお互いに尽くすべきだし、政局としての拒否姿勢は止めてもらいたい。増税の前提となる行政改革や衆参改革も並行させ、法案提出前には、国民に信を問うて欲しい。これは日本の倫理だと思う。
1日付で野田首相が年頭所感を発表した。首相は社会保障と税の一体改革について「しっかり具体化させる」と表明。2011年度第4次補正予算案と12年度予算案を「早期に成立させる」と強調した。
東日本大震災からの復興に関しては「復興庁を司令塔にスピードアップさせる」と述べた。外交面では「アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)構想実現のため、各国の先頭に立って様々な方策を追求する」との決意を示した。 (日経新聞 H24.1.1)
通常国会が今月23日にも召集され150日間の与野党の攻防戦が繰り広げられる。政府は社会保障と税の一体改革素案をまとめ、今国会で消費増税に道筋をつけ、1994年以来18年ぶりに増税法案成立への挑戦状をたたきつけようとしている。野党はマニフェスト違反だとして、早期の衆院解散・総選挙をちらつかせている。
その他にも早急に解決すべき事項として、TPP交渉問題や原発活用問題、普天間移設問題、公務員改革、衆参両議院改革などがある。政局にしてはいけない日本の方向性を決定づける課題でもあり、建設的かつ真摯に議論すべき事項で、社会保障政策とは違って直接的ではないが国民の関心事にもなっている。消費増税法案成立を実現しようとするならば、予算案成立後の今春に上記事項も含め、あらためて国民に信を問う必要があると思う。
民主党の前原政調会長は3日の読売テレビ番組で、大阪市長に当選した橋下徹氏が掲げる「大阪都」構想について「二重行政を解消する、いいきっかけになる」と評価した。
自民党の石原幹事長は3日の兵庫県明石市の講演で、橋下氏が掲げる「大阪都」構想について「発想としてはいい。大阪の半分強の人が全部一緒になって大関西圏をつくってくれるなら応援していきたい」と表明した。 (日経新聞 H23.12.4)
「大阪都」構想、大阪府と大阪市の「二元行政」を解消するものとして、橋下新市長が提案し、それが受け入れられたと考えてよいのだろう。大阪ダブル選の結果が示している。府でもない都でもない、大阪畿(仮称)という新しい行政組織が出来るわけだ。大ロンドン(面積:1,579平方キロメートル、人口:730万人)が参考になるという。大阪府(面積:1,898平方キロメートル、人口:880万人)、規模としても遜色ないということだろう。大大阪の誕生となる。
近々に取り組まざるを得なくなるだろう「道州制」を睨んだ動きで、関西州の州都もしくは大阪特別州として先駆けになる試みだと思う。道州制は明治時代の「廃藩置県」以来の大行政改革となるものだ。
政令都市でもある大阪市ないしは堺市を中核都市並み(30~40万人)の区に再編し、特別自治区として他の市町村と同列にする。そして府と市の権限と財源、人員を再配置する、のが大阪都構想だという。考えているかもしれないがいっそのこと、他の市町村も含め大阪府全体を特別自治区に再編し、「大大阪、大阪畿」を作り上げればよい。その方がすっきりするのではないか。そうでないと見た目は東京都と変わりないし、都が2つあるのはよくない。そこで、畿という行政単位を考えたい。ただ区割りに関しては、郷土愛の強さ・深さが抵抗になると思う。これらは組織形態という面からみた意見と思ってほしい。
大阪府知事・大阪市長ダブル選で民主、自民両党が府連レベルで支援した候補者がともに敗北した。橋本徹氏が国政選挙への候補者擁立も検討する考えを示したことで「大阪維新の会」が次期衆院選で民主、自民の二大政党に挑む「第三極」の焦点に浮上。各党は警戒を強めており、接近を模索する動きも出始めている。 (日経新聞 H23.11.28)
大阪は経済の地盤沈下が続いており、特に閉塞感が強かった。「大阪都構想」を掲げ、閉塞感を打破すべく選挙戦に挑み勝利した。府・市民は大きな改革と強いリーダーシップを期待していると思う。経済の不振は政治交代を生む。
EUにおいて、ギリシャ、イタリア、スペインで今秋リーダーが交代している。PIIGSと言われている国で、今回のEU危機の主役となっている。来年、米国と韓国が大統領選を控えており、これらの国の経済状況いかんによっては首脳交代があり得る。
ここで日本を見てみると、経済状況の見通しが不透明であり、政治に関しては全く暗い。「社会保障と税の一体改革」や「TPP交渉」に関しては、与野党だけでなく各党内でも意見が二分化している。閉塞感この上ない。国民としては方向性を認めつつも、内容が具現化されておらず判断が難しい。
この上は、政界再編止むなし。来年には前倒しの衆院選により現状打破の動きがみられるのではないだろうか。さらに一年は待てない状況になりつつある。今回の大阪ダブル選は、既成大政党への不信感を明らかにしたと思われる。強いリーダーシップが今の日本に求められている。
野田首相は11日夜、首相官邸で記者会見し、環太平洋経済連携協定(TPP)について「交渉参加に向けて関係国と協議に入る」と表明した。同時に「貿易立国として築いた現在の豊かさを次世代に引き継ぐには、アジア太平洋地域の成長力を取り入れていかなければならない」と強調した。12日からのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の場で関係国に伝える。日本経済の再生に向けて関税撤廃を原則とするTPP参加交渉に臨み、米国など関係国との調整や同意を経て、来春にも交渉入りする。 (日経新聞 H23.11.12)
与党内ないし野党の中でもTPP交渉参加に推進派と慎重派とが二分されているなか、慎重派へ配慮しつつも、事実上の交渉参加表明を政治決断したのだ。「アジア太平洋地域の成長力を取り入れる」、「医療制度、伝統文化、美しい農村は守り抜く」、「十分な国民的な議論を経たうえで、国益の視点に立つ」と、野田首相は強調した。正しい判断だと思う。
来春にも9カ国(シンガポール・ブルネイ・チリ・ニュージーランド・米国・オーストラリア・ペルー・ベトナム・マレーシア)との同意を経て実質論議に加わり、関税撤廃の例外設定や投資ルール作りなど多岐にわたって議論される。できる限り日本の国益に沿った議論展開ができるよう、政治家や官僚の外交力・交渉力が重要となってくる。
環太平洋に面している経済大国の日本が、その圏内におけるルール作りのテーブルに着かず、そっぽを向くということは国益向上の観点では考えられない。中国や韓国が参加していないからこそ、東アジアの代表として日本が手を挙げることは当然ではないだろうか。この枠組みはいずれAPEC加盟国全体に広がるはずである。
与野党とも推進派と慎重派とが党内混在しているようだが、「党が割れて」大いに結構だ。TPP交渉参加を機に消費税問題も絡んで、政党再編成の機運が高まることに期待している。
環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加を巡り、民主党の慎重派は「数の力」を前面に徹底抗戦する構えだが、全国農業協同組合中央会(JA全中)の集めた署名は同党議員の4分の1程度にとどまるなど、戦略にほころびも出ている。
推進派は、議論による説得に努める一方、交渉参加後でも離脱は可能という「妥協案」を持ち出し、軟着陸を探る動きも出ている。交渉参加の議論は月内にも迎える見通しのヤマ場に向けて、せめぎ合いが続きそうだ。 (読売新聞 H23.10.26)
いわゆる農協(JA)は既得権益の代表であって、今まで多くの規制改革に対して抵抗を示し、強い農業づくりのチャンスを逃していたことは歪めない。それを守ってきたのが、自民政府時代に族議員と呼ばれていた方たちだ。今回も同じような構図が見られる。国政選挙での選挙協力をちらつかせて署名を迫っていたのだろうか。それが目当てならば情けない姿としか言いようがない。受ける政治家も同じだ。国益か権益かの選択が迫られる。
さらに途中離脱論たるものが出ているようだが、TPPが外交上の協約である以上、交渉参加後の撤退は難しい。増してや多国間である限り、それは相当な覚悟をしない限り許されないだろう。お互いの妥協点を探るしかないのではないか。慎重派から、無責任な発言と言われても仕方のないことだ。
ただ今後の日本の方向性として海外にも向けていくのならば、最初からTPPの交渉参加を受け入れるべきだ。途中参加ということになれば妥協点は受け入れ難くなるだろう。ここは政治家・官僚タッグの力の見せ所だと思う。国益とは何か。あらためて考える場となるだろう。
政府・民主党は社会保障の財源確保のために消費税率の引き上げ準備に向けて動き始めた。安住財務相が12日、増税に向けた準備法案を来年1月召集の通常国会に提出すると明言した。政府内では、早ければ2013年にも増税に踏み切る案が浮かぶ。だが引き上げ幅や時期など細かな制度設計はこれから。低所得者対策を求める声も強く、与野党内に異論もあるため、議論の曲折は避けられない。 (日経新聞 H23.10.13)
来年に法案提出?準備法案といえども、この行為はマニフェストに逸脱した行為と言える。完全に財務省に取り込まれた形だ。議論することはやぶさかではない。日本の将来の為にも大いにすべきだ。準備法案とはあいまいで、法案提出ともなると民意を問う必要がある。であるなら、来年度予算成立後の来春には衆議院の解散総選挙を行なうということか。その場で各党ともマニフェストを提言し消費税問題を争うべきだ。
消費税とも絡んで社会保障との一体改革が必要だが、厚生労働省は早くも年金の支給開始年齢を68~70歳に引き上げる改革案を提示しようとしている。マニフェストに掲げていた基礎年金制度とはどう関係していくのか。
選挙制度改革にしても各党の思惑があって遅々として進んでいない。むしろ、抜本的改革を避けて進まないようにしているとしか思えない。目先の「一票の格差」是正だけを問題にしており、衆参両議院の在り方や選挙区割り、議員数大幅削減をどのようにすべきか、ということは棚上げにされているように思える。
総選挙の時期は、再来年の衆院議員任期満了時と考えてはいたが、このような状況では来年の春にでも解散総選挙が必要になってくるのではないか。残り半年は震災復興に力を注ぎ、議論すべきところは議論する姿勢で臨むべきではないか。仕切り直しだ。
野田首相は13日午後の衆院本会議で、就任後初の所信表明演説に臨んだ。東日本大震災からの復旧・復興と経済危機対応を最優先課題に掲げ、2011年度第3次補正予算案の早期編成に取り組む考えを示した。経済成長と財政健全化の両立を目指し、新成長戦略を強化する「日本再生戦略」の年内策定を打ち出し、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加は「早期に結論を出す」と表明した。 (日経新聞 H23.9.13)
会期わずか4日の臨時国会が始まったわけだが、首相の所信表明演説(約9,500文字、35分間)、コンパクトな内容で現下の政策課題が網羅されているように思う。これがいわゆる官僚作文と言えるものらしい。具体的な行動計画はこの段階では何も示されていない。公務員及び衆参両議院の制度改革には消極的なようだ。これからということか。文章の出来の良さに、聞いているだけでは見事に騙されてしまう。
「誇りと希望ある日本の再生」「国家の信用の回復」の2つを大きなテーマとして、(1)東日本大震災からの復旧・復興、(2)世界的な経済危機への対応、(3)希望と誇りある日本に向けて、(4)新たな時代の呼び掛けに応える外交・安全保障、の四つの課題に取り組む意向で、これらを「正心誠意」の低姿勢で進めていくようだ。
責任ある実行を伴わなければならない政権与党というものがどれほど大変なのか、また、美辞麗句の言葉だけでは済まされないということが、民主党はそろそろ解ってきたことだろう。反面野党の方は、政権獲得にのみ目が入っている政党もあれば、責任無くただ批判している政党もある。全てとは言わないがそう見えてしまう。今は与党の実行力と野党の協力とが必要で、世界から「日本化する(政治が指導力を発揮せず、物事を先送りすること)」と揶揄されないようにしてほしい。
10月以降に再び臨時国会を召集する方針のようだが、野党はこのことに不満で、演説中に野次ばかり飛ばし嘆かわしい。人の話は黙って聞くものだ。国会崩壊していると言わざるを得ない。醜い争いは見飽きた。早く成果が問われる。そこを解ってほしい。
政府・民主党は6日、野田政権で初の論戦の舞台となる次期臨時国会を13日に召集する日程を提示した。野党は13日召集は受け入れる方針だが、16日までの4日間の会期幅には反発。12月まで開くよう求めた。 (日経新聞 H23.9.7)
与野党ともやはり危機感がない。衆参両議院改革法案が葬られている中、今の立場に安穏としているのではないかと訝ってしまう。勉強期間が欲しい与党と、敵失を早く攻めたい野党との思惑があり、国民に対する喫緊の課題はなおざりにされているように感じられる。私たちが期待しているのは、早く政策を実施してほしいのだ。そのためにどのような方法でもいいから議員たちに動いてもらいたいだけなのだ。議論し行動することはいくらでもあるだろう。
菅首相の退任に伴う民主党代表選は29日、党所属議員による投票で野田佳彦財務相を後継代表に選出した。30日午後の衆院本会議で第95代、62人目の首相に指名される。野田氏は党役員人事と組閣作業に着手した。東日本大震災からの本格復興に向けた2011年度第3次補正予算案の早期成立のため自民、公明両党と財源の協議に臨む。 (日経新聞 H23.8.30)
紆余曲折はあったが、閉塞状態にあった菅内閣からは解放されたというのが第一印象だ。その分次期首相への期待は弥が上にも高まってしまう。まずは挙党一致で対応してもらいたいものだ。戦後最大の危機にあるにもかかわらず、政治がマヒしている状態、このまま続ければ日本は確実に沈没してしまう。
政策課題は多い。1)震災復興をテコにした新たな「グローバル成長戦略」、2)原発事故収束を含めた「日本型エネルギー政策」、3)財政健全化を見据えた「社会保障と税の一体改革」、4)日米同盟を基軸とした「外交・安全保障政策」、5)円高対策や世界経済安定化のための「国際発信力の強化」、等があると思う。
次期衆院選まで2年間はあると言っているが、これらの課題が対応できないとなれば、今一度民意を問うしかない。未曾有の困難に立ち向かう野田新代表の政治手腕が問われる。強い意志を以て、党内の取りまとめ及び野党との協力体制を築き上げ、国政の停滞を断ち切ってほしい。日本国民及び国際社会から信頼される日本政府を作らなければ、日本国自体が見捨てられてしまう。積極的に動くしかない。
30日午後の衆参両院本会議の首相指名選挙を経て、第95代野田新首相が選出された。ただ、参院本会議での首相指名選挙にはむなしさを感じた。9月2日にも首相親任式を経て正式に就任し、新内閣を発足させる。
民主党は22日午後の役員会で菅首相(党代表)の後継を選ぶ党代表選を27日公示し、29日に党両院議員総会で投開票する日程を内定する。30日にも衆参両院の首相指名選挙で新首相が決まる見通しだ。 (日経新聞 H23.8.22)
これは今までにない茶番劇だ。候補予定者が現政権反主流派の鳩山前首相、小沢元代表に支援回りを行なっている。政策を訴える前に小鳩詣でに奔走しているのだ。身内での数合わせに必死なのだ。マスコミの報道にも問題があるのか、私にはそのようにしか見えない。このような形で選ばれた代表が、このままでは日本国の総理大臣に任命されてしまう。これでは日本の民主主義は国民からも外国からも総スカンを食らうことになるだろう。その反動が怖い。
沖縄基地問題、尖閣諸島問題、公務員改革や国会議員削減については大きく後退させている。今問題になっている、円高対策を含めた経済・産業政策、原発対策を含めたエネルギー政策や税制改革についてはあやふやなことが多すぎる。対外的には完全にレイムダックになっている。このような状態では心配だ。やはり挙党一致で対応するしかないと思うが、どうだろうか。今本当のプロ集団が必要な時ではないか。政・官・財・民・外のベクトルを一つに。
菅首相は10日、自らの退陣条件に掲げていた赤字国債発行法案と再生エネルギー特別措置法案が今月下旬に成立するのにあわせて、退陣する意向を固めた。
同日午前の衆院決算行政監視委員会で「2法案が成立したときには私の言葉をきちんと実行に移したい」と明言した。民主、自民両党は10日の参院国会対策委員長会談で2法案を26日までに成立させる方針で一致。民主党は後任を選ぶ代表選を28日にも実施する方向で準備を進めた。 (日経新聞 H23.8.10)
今国会も会期末である今月末で閉会となる。世論の7割(電話調査)ほどが首相の月内退陣を迫っていた。それが現実のものとなる。ただ、菅首相が掲げた退陣条件の3案件が成立した時点という。民主・自民・公明3党が残り2法案を26日までに成立方針を合意したことで、ほぼ確定したということになる。
民主党のマニフェストの大幅な譲歩と自公2党の妥協の産物といえる。世界情勢の急激な変動が国内対立を許さなくなってきた。素早い政治体制の正常化が急がれ、民主党も今国会中に新首相を選出して、政策協議の仕切り直しを計ろうとしている。自公もそれに乗った形ではあるが、菅首相のことだから下駄を履くまではわからない。民主党も一度煮え湯を飲まされている。
民主党マニフェストの看板政策(バラマキ4K)の大幅な見直し否破綻は、本来なら解散・総選挙が正しい姿(鳩山前首相も出来なければ国民に信を問うと言っていた)だと思うが、今の状況では難しい。2年後の任期満了前にその時期が早まったような気はするが、私としては、復興内閣として挙党一致・大連立で世界経済の推進役としての立場を発揮してほしい。
菅首相は26日午前の衆院東日本大震災復興特別委員会で、次期衆院選に関し「(平成25年夏の参院選との)ダブル選挙でいいと思っているが、信を問うときは必ず来る。早く解散というのは国民の気持ちと離反している」と述べ、早期解散を否定した。自民党の額賀福志郎氏への答弁。 (産経新聞 H23.7.26)
菅首相が答弁している通り、今この時期に総選挙を行なう余裕は無いと思う。私も衆参ダブル選挙で良いと思っている。それまでの2年間は本来ならば挙国一致内閣で対処すべきだ。当初はその方向に向かっていたはずだ。東日本大震災以降の与野党の行動を国民は憤懣やる方ない気持ちで見ている。特に被災者の方にとっては怒り心頭のことだろう。政治ではなく政局を行なっているに過ぎないのではないか。
彼らの果たすべき役割の第一は、震災からの復旧・復興に道筋を付けること、原子力事故の収束に努めることだ。そして、税制改革を含めた財政危機からの克服、デフレ脱却による経済活性化、真意を見せる選挙制度改革を推進していくことではないだろうか。強力なリーダーシップのもとでの挙国一致内閣を作ることが、国民の多くが望んでいることだろう。
民主党の輿石参院議員会長は21日の記者会見で、「今国会中に(参院)選挙制度改革で各党の合意ができるかと言えば、無理だろう」と述べた。制度改革を主導する西岡参院議長も同日の会見で「時間的にかなり難しいというのが客観的事実だ」と指摘。
「一票の格差」是正を目的とした参院の選挙制度改革は次期国会以降に先送りされる方向となった。 (日経新聞 H23.7.22)
「一票の格差」是正が目的ではない。参議院そのものの存在をどうするかが第一であり、二院制維持か、一院制(衆議院のみ)移行かの選択が最大の関心事である。その後に二院制維持であれば、一票格差問題があり、選挙区割り及び定数が議論に上がってくるのではないか。
私としては、二院制を維持しつつも、その機能を現行よりも縮小し良識の府として存在させたい。任期6年で3年ごとに半数改選、解散なしは現行と同じ。都道府県及び政令指定都市(東京23区含む)を1選挙区、各区2名を地域代表(一票格差は問わず、道州制になれば道州を1選挙区とし、定数は別途定める)として選出し、身分は政党に属さず全て無所属とする。政党には縛られず、国益をにらんで衆議院を補完・監理し、衆議院の暴走を止める体制として築き上げたい。
参議院のトップがそんな弱腰では困る。選挙制度改革の本気度が全く伝わってこない。これでは今後の税制改革における国民の理解が得られなくなるのではないか。国民だけではなく国会議員も犠牲を払うんだといったところを見せてほしい。それは衆議院も同じことだ。
菅首相は13日夕の記者会見で、今後のエネルギー政策について「これからは原発に依存しない社会を目指すべきと考えるに至った」と述べ、「脱原発依存」を目指す意向を正式に表明した。
「計画的、段階的に原発の依存度を下げ、将来原発がなくてもきちっとやっていける社会を実現することが我が国の目指す方向だ」とも語った。 (日経新聞 H23.7.13)
政府は11日、原子力発電所の再稼働を巡る統一見解を発表したばかりなのに、独自の意見なのか。思い入れなのか。国民投票や政府内での様々な議論を経て脱原発への方針転換を決めたイタリアとドイツと異なり、退陣間近死に体にある菅首相の政策転換発言は、ストレステスト実施意向の発言と共に唐突過ぎる。
国民の強い批判、政財界からの反発を招く可能性は高い。安全第一ではあるが、資源が乏しい我が国では、安定供給、安価提供も選択肢に挙がっていることを忘れてはならない。
海江田経済産業相は6日、原発が自然災害など最悪の事態に耐えられるかを調べるストレステスト(耐性調査)を全国で実施すると表明した。運転停止中の九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)2,3号機の再稼働問題で、地元自治体の判断に影響を与える可能性もある。
ストレステストは安全基準に対し設備の余裕がどれだけあるかを調べ、地元自治体や住民に情報提供する。 (日経新聞 H23.7.6)
国際原子力機関(IAEA)は6月に加盟国の全原発ストレステスト実施で合意され、欧州連合(EU)も自然災害時の耐久性能を点検する計画を作っていると言う。その事に基づいて表明されたものだろう。
地元住民のより一層の安心を得るためには必要だろうが、被災当事国としては判断が遅すぎる。中部電力浜岡原発停止のタイミングに絡めて行なえば良かったのに、それにしても今回の表明には唐突の感がある。
政府は11日、原発再稼働に向け新たな安全評価を2段階に分け行なうことを、統一見解として発表している。
松本龍復興担当相は5日午前、首相官邸で菅首相に辞表を提出し、受理された。
東日本大震災の被災地を訪問した際に「知恵を出さないやつは助けない」などと発言して批判された問題の責任を取った。
復興対策の要として新設した重要閣僚に就任してわずか9日目の辞任に、与野党内で首相の任命責任を追求する声が広がっている。 (日経新聞 H23.7.5)
「九州の人間だから東北の何市がどこの県か分からない」という発言があったが、私自身、復興担当相は東北、それも岩手・宮城・福島三県いずれか選出の国会議員、かつ相当な実力者が就任すべきだと考えていた。各大臣との調整力・発言力・折衝力が問われる。
松本氏の実力はどれほどのものかは知らないが、「全て上から目線の発言」、被災者感情を考えると謙虚な人物が良いだろう。これをとっても首相の任命責任は問われるべきだ。
同日、岩手選出の平野達男復興担当副大臣が昇格就任。もう待ったは許されない。
菅直人首相は28日午後の両院議員総会で、福島第1原子力発電所事故について「我が国の原子力行政の脆弱性が明らかになった」と指摘。その上で「エネルギー政策をどのような方向にもっていくかは、次期国政選挙でも最大の争点、議論になる」との認識を示した。 (日経新聞 H23.6.28)
今この時期に、このような形で、原発問題が浮き彫りにされるとは思いもよらなかった。資源の乏しいわが国では、しばらくは原子力が必要とならざるを得ないであろう。太陽光・風力などの自然エネルギー源はまだまだではあるが、今その拡大が急がれている。さらに、電力に頼る生活スタイルの変更も余儀なくされている。
現況では、脱・原発への急展開は拙速であると思う。安定した生活基盤は保障されなければならないし、安全性への追究は今後ともなされるはずである。自然エネルギーはまだ不確実性が高すぎる。ただ、原発の新設は難しいかもしれない。安全、安定、安価、そうした中で国民はどう選択するのであろうか。